ある幹部の左遷の話 その21
2007年 11月 14日
その製品は建物の中に埋め込まれるものだ。直接の雨風は当たらないかもしれないが、経年劣化や変化でどうなるかは実際には分からないだろう。Oさんがホワイトボードに自分で書いた内容が、そのまま議事録で回ってきたのだが、その議事録を書いた人がS次長だ。
S次長にキツい質問と意見をしてしまった小生だが、S次長は本音で答えてくれた。「本当は反対だったのだが、Oさんにいくら意見しても聞かないので仕方なく了承してしまった。耐性には自信が無い」と。この回答は想像していた通りだ。
小生はその情景が浮かんでいた。S次長に対して、それ以上責めても意味が無いし、幹部たちで決めてしまったことは仕方がないだろう。それがサラリーマンの宿命だとも思う。黒を白と言い続けることのほうが苦しい。白を白という方が楽なことが多い。
とは言え、明らかに手抜き作業をした製品が出荷されていくのを見ていくしかないのだ。小生はS次長に「必ず近いうちに問題が起きると思います」と言った。これは捨て台詞に近いものではあったが、まさかそれがすぐ現実になるとは思ってはいなかった。
それから2ヶ月程度経過したある日の夜のことだ。小生は忙しい日々を送っていたが、その日も残業をしていた。夜7時前後に、その製品を担当しているお客さんの営業マンから電話があった。
「湘南のJOHN LENNONさんですか?こんばんは。いつもお世話さまです。実は○○○の製品ですが、いくつか不良が発生しています。以前は無かったのですが・・・」