世界最速のF1タイヤ 浜島裕英 (著)
2007年 02月 26日
F1のタイヤ戦争は昨年で終焉となり、今年2007年シーズンより、再度ワンメイクになってしまった。そのブリヂストンのモータースポーツタイヤ開発室長である浜島裕英さんの本である。浜島さんはテレビにもよく映っているので、顔を見ればたいていの人は分かるのではないか?親しみのある優しそうな感じの人だ。
本の内容は、浜島さんが大学を卒業してブリヂストンに入社し、いくつかの部署を異動しながら、現在(2004年の秋口くらい?)に至るまでの話だ。文章も分かりやすく、浜島さんの人柄が伝わってくる。テレビのインタビューでも誠実な受け答えをされていたし、よく涙も見せていた人だ。そんな彼も昔はモータースポーツに関して、全く無知だったという。
そんな浜島さんが、エンジニアとしてレーシングタイヤを開発し、いろいろな苦労もされてきて、そして、ついに1997年、正式にブリヂストンがF1に参戦した経緯も書かれている。会社内部から見た話なので、その辺も大変興味深いものがある。
浜島さん
去年までのタイヤ戦争のライバルは、あのミシュランだ。ブリヂストンが1980年代初期にヨーロッパのF2に参戦し、ミシュランにコテンパンにやっつけられたことも書かれている。2001年からF1に復帰したミシュランとのタイヤ戦争は、小生のようなファンにとって、とても面白く、まして日本のメーカーなので、ナショナリズムも高揚されたものだ。
他にも、ミハエル・シューマッハーとのエピソードも書かれており、シューマッハーの人柄や人間性も実際に接した人間として、客観的に書かれているのだ。シューマッハーは、細かい気遣いのできる人で、感謝の気持ちを忘れない人だそうだ。そんな人間性が、周りをヤル気にさせているのだということが理解できた。