「ロック・ショウ」 ポール・マッカートニー & ウイングス
2006年 07月 04日
1970年代中期の音楽シーンで一番ヒットをコンスタントに出していたバンドがポール・マッカートニー & ウイングスだ。ビートルズ解散後もポール・マッカートニーはヒットを出していたが、いまいち評価はされていなかったという。そんな彼もアルバム「バンド・オン・ザ・ラン」の大ヒット以来、名アルバムを次々に発表し、実績と評価は急上昇となったのだ。
1975年(昭和50年)9月からワールドツアーを開始し、1976年(昭和51年)10月まで行われた数々のコンサートは当時、ビートルズブームの盛り上がりもあり大成功となった。日本でもコンサートを行う予定もあったが、日本政府の入国拒否というバカげた判断のせいで幻となってしまった。
このレーザーディスクはポール・マッカートニー & ウイングスのアメリカツアーを収めた作品だ。当時のメンバーは最強と断言しても良い素晴らしい音楽スキルを持っていた。曲はもちろんのこと演奏自体も迫力があり、素晴らしい生演奏を聴くことができる。ポール・マッカートニーの全盛期と言っても良いだろう。声も最高だし、リッケンバッカー4001特有のベースの音も例の「ゴリゴリ」という感じで後年のソロツアーの音とは明らかに違う。
1975年8月~1977年9月の約2年間に渡る最強メンバーの布陣は以下の通りだ。
ポール・マッカートニー・・・ベース
リンダ・マッカートニー・・・キーボード
デニー・レイン・・・ギター
ジミー・マッカロック・・・リードギター
ジョー・イングリッシュ・・・ドラム
ライヴでは、ポールも他のメンバーも他の楽器をプレイすることもあったので、上記はメイン担当ということだ。またメンバー全員がリードヴォーカルを取れることでもバンドの一体感があり、奥さんのリンダも決して上手ではないが、コーラスやハーモニーも自然に溶け込み、違和感はまったく感じない。その辺は同じ奥さんでもオノ・ヨーコとは対照的だし、ヨーコよりは音楽的鑑賞に耐えるものだ。
このレーザーディスクの曲目も以下に記しておく。
Disc 表
01.ヴィーナス・アンド・マース
02.ロック・ショウ
03.ジェット
04.レット・ミー・ロール・イット
05.遥か昔のエジプト精神
06.メディシン・ジャー
07.メイビー・アイム・アメイズド
08.007死ぬのは奴らだ
09.ブルーバード
10.夢の人
11.イエスタデイ
12.幸せのアンサー
13.磁石屋とチタン男
14.ゴー・ナウ
Disc 裏
15.あの娘におせっかい
16.幸せのノック
17.やすらぎの時
18.心のラヴ・ソング
19.愛の証し
20.ワイン・カラーの少女
21.バンド・オン・ザ・ラン
22.ハイ・ハイ・ハイ
23.ソイリー
ほとんどが全盛期のウイングスの曲だが、一部ビートルズの曲も含まれている。頑固なまでにビートルズナンバーを避けていたポールだったが、1975年からのワールドツアーでは、数曲セットリストにピックアップし始めている。後年のツアーでは半分以上がビートルズナンバーだったが、この頃はウイングス自体もヒットチャートの常連だったので、ウイングスだけの曲目でも十分楽しめたはずだ。いや、ビートルズナンバーは必要すらなかっただろう。それだけウイングスが素晴らしかったのだ。
このときのツアーでは、現在と違いバックにホーンセクションメンバーも帯同し、生の音を聴かせてくれている。後年のツアーでは打ち込みやシンセに変わってしまているので、生のホーンセクションの音を聴けるこのツアーのメンバーは、本当に素晴らしいとしか言いようがない。1975年に来日公演があれば、当時のファン達はこのメンバーでの素晴らしい演奏を堪能できたはずだ!当時の日本政府のお役人の判断は貴重な機会を永遠に奪ってしまったのだ。当時の責任者の氏名を調べて抗議したいくらいだ。
オープニングの「ヴィーナス・アンド・マース~ロック・ショウ~ジェット」は10分にも渡るメドレーだ。このオープニングを生で聴けたファンが本当にうらやましい。曲もオープニングにピッタシだし、演奏・声・コーラスどれを取っても非の打ち所が無い。小生は1990年・1993年・2002年のポールのコンサートを観に行き、このオープニングを正直期待していた。ウイングスをリアルタイムで聴いた我々のような世代は、このオープニングにこだわる人が多い。
バンドのメンバーでキレの良い音を聴かせてくれるのが、リードギターのジミー・マッカロックだ。ライヴで聴く彼のテクニックは、アルバムでは聴かれないフレーズもあり、とても貴重だ。アコースティックからハードな曲までジミーの個性が溢れている感じだ。これはライヴCDでは編集されてしまっているので、この貴重なレーザーディスクの方が、生の彼の音に接することができる。そんなジミーもウイングス脱退後の1979年(昭和54年)に薬物中毒で26歳という生涯を終えてしまった。彼のギターを聴けないのは今でも本当に残念だ・・・。
ウイングスのアルバムは比較的、ドラムはオフ気味に録音されている。これはミックスでこのような音にしているのだと思うが、ライヴではジョー・イングリッシュの重くて迫力のあるドラムを聴くことができる。これにリッケン4001のゴリゴリが重なり、ヘヴィーな音を聴かせてくれている。
最後にウイングス結成当時からのオリジナルメンバーのデニー・レインも当時流行したダブルネックギターをバリバリ弾いている。1970年代中期にダブルネックギターを持って弾くスタイルが、他のハードロックバンドやヘヴィメタバンドで流行っていて、小生の友人も何人か持って弾いている奴がいて、小生もそれに憧れていた記憶がある。またデニー・レインは、今年久しぶりに来日したらしい。小生も後から知り、観に行けば良かったと後悔した!
「ロック・ショウ」は映画となり、1981年(昭和56年)8月に日本でも公開された。日本では他国より長い130分にもおよぶノーカット版だったと記憶している。ポールの映像作品はDVDで発売されているものに関して、ウイングス時代のものは無い。断片的に収録されてはいるが、コンプリートヴァージョンが皆無なのだ。
小生のこの「ロック・ショウ」のレーザーディスクも経年劣化のため(買ってから20年以上)、画質が落ち、音声が再生できないというトラブルに見回れてしまっている。海賊版DVDを入手するしか全盛期のウイングスの映像を見ることができない。早くオフィシャル版DVDで再発売して欲しい。そう思うファンは多いはずだ。
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湘南のJOHN LENNONです。
小生のブログではコメント本当にありがとうございました。
またトラバもさせていただきありがとうございました。
再びポールの来日公演の噂があるようですが、それはうまくいっても来年かもしれませんね。
ビートルズナツメロナンバーも良いのですが、ウイングスナツメロも聴いてみたいですね。
でも、やっぱりつくづく1980年のコンサート行きたかったですね・・・。捕まったニュースは昨日のように思い出されます。