破滅―梅川昭美の三十年
2009年 03月 01日
当時、高校生だった小生は、テレビのニュースや新聞を見続けていた。事件発生翌日土曜日、学校でも大きな話題になっていたし、日本の全てが、三菱銀行北畠支店に向けられていたと言い切ってもいいくらいだった。
この犯罪史に残る凶悪事件を起こした男、梅川昭美(あきよし)といった。チロルハットをかぶって、サングラスをし、アフロヘアーの外観、そして、4人を射殺したショッキングな行動。日本中が注目した事件だった。
この梅川昭美の誕生日は、3月1日なのだ。生まれた年は昭和23年。ベビーブーム世代だ。この男、15歳で強盗殺人事件を起こしていた。そして、その15年後、銀行に押し入り強盗殺人事件を起こした。しかし、この本によると、その15年間、犯罪歴はなく、交通違反が一回だけだったという。
しかし、この写真の外観、あるテレビ番組の主人公の格好に似てないだろうか?この事件が起きた8ヵ月後の9月に始まった「探偵物語」だ。また、梅川は、大藪春彦の小説を読みあさっていたという。ヴァイオレンス小説の主人公に憧れでもあったのだろうか?
行員女性を全裸にして、人間の盾にしたり、警察から差し入れられた食事を人質に毒見させたり、ある意味理論的に行動していたようにも見えた。しかし、こんな篭城が長く続くはずがなかった。当然のことだが、人間は睡眠をとらなければ生きていけない。
梅川は居眠りした一瞬のスキをつかれ、機動隊員7名の発射した銃弾のうち、3発を浴びて、その場で意識を失った。病院に運ばれ緊急手術を受けたが、梅川は死んだ。仮に無傷で逮捕されたとしても死刑は免れなかっただろう。
途中、母親の手紙も届けられたらしい。梅川の母親は文盲だったという。現在では信じられないが、30年前の時代、まだまだ明治生まれの人たちは、たくさん健在だった。教育を満足に受けられなかった人たちも、その時代には大勢残っていたのだ。
その息子、梅川昭美は、それほど悪い成績ではなかったという。彼が高校進学した時代、昭和38年頃の高校進学率は、約70%という数字だった。まだ3割以上は中卒者がいた時代だ。両親が離婚したり、決して恵まれていた家庭ではなかったようだが、普通にしていれば高校も卒業していただろう。しかし、すぐに退学してしまったという。
そして、15歳で強盗殺人事件を起こし少年院に入れられた。しかし、何と彼は1年ちょっとで退院してきた。法律のせいだろう。16歳未満の犯罪だからだ。更に警察は、この梅川に対し、猟銃所持の許可も与えてしまった。これも少年法の穴だという。
強盗殺人の犯歴があったら、起こしたのが少年時代だろうが、永久に猟銃所持は禁じられるべきだったろう。正にキチガイに刃物、言い換えれば、梅川に猟銃だった・・・・。
梅川昭美
大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画
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